メドック地区の最北部、サン・テステフ村に位置するシャトー・モンローズ。コス・デス・トゥルネルと共にサン・テステフ村のツートップとして、格付け第二級の中でも特に優れた品質を誇るスーパーセカンドです。秋にバラ色の花が咲き乱れる風景に由来し、「モンローズ(バラ色の丘)」という名前が付けらました。
シャトーでは、1815年にブドウ栽培が始まり、1832年には35haに拡大。1855年に始まった格付けによって2級に認定され、その品質が広く認められました。1887年にはコス・デス・トゥルネルのジャン・オスタンが所有し、その後、義理の息子ルイ・シャルモリューが引き継ぎました。シャルモリュー家は経済危機や二度の世界大戦を乗り越え、設備の近代化を進め、メドックワインとしての地位を強化しました。2006年には通信産業大手のマルタン・ブイグ氏が買収。シャトー・オー・ブリオンのジャン・ベルナール・デルマス氏に続いて、ムートン・ロスチャイルドのエルヴェ・ベルラン氏が支配人となり大幅な投資を行い、その品質はさらに上がっています。また、太陽光パネル、地熱エネルギーの利用など取り組みをするなど、サステナブルなワイン造りにも注力しています。
モンローズの畑は、ジロンド河を見下ろす高台に位置し、砂利と粘土質の土壌が水はけと適度な水分供給を実現しています。この立地は、メルローとカベルネ・ソーヴィニヨンにとって理想的な生育環境を提供し、急斜面が反射熱を受けることで、カベルネ・ソーヴィニヨンを霜から守ります。
長期熟成に適したモンローズのワインは、じっくりと開くことによりエレガントで奥深い味わいが広がり、その魅力は「通好みのワイン」として評価されています。また、その品質について、ロバート・パーカー氏は「格付けが見直される際には、モンローズがメドックの一級に昇格する可能性がある」と絶賛。安定したクオリティと、「サン・テステフのラトゥール」とも称されるその濃厚さと力強さで、愛好家たちを魅了し続けています。