ブノワ・ライエは、モンターニュ・ド・ランスのグラン・クリュであるブージィに拠点を構える家族経営の生産者です。その歴史は古く、1930年代から続く老舗を1993年に現当主のブノワが引き継いだ後、1996年から自らの名前でボトリングを始めました。また、ブノワは、ロッシュ・ド・ベレッシュをはじめとする自然派シャンパーニュの先駆者が名を連ねる「テール・エ・ヴァン(大地とワイン)」という伝説的な試飲会の中心メンバーの一人で、自然派シャンパーニュの普及に尽力していることでも知られています。
所有する畑は合計4.8haで、ブージィ、アンボネ、トクシエール、ヴォワプルに広がっています。アルザスのドメーヌ・ジュリアン・メイエのパトリック・メイエの影響を受け、1996年からビオディナミを取り入れつつ有機栽培をスタートさせ、2003年には全ての畑を有機に転換し、2007年に有機認証を取得しました。さらに2008年からビオディナミへの移行を進め、2010年にはビオディヴァンの認証(ビオディナミ農法によって生産されたワインに与えられる認証)も得ています。
ブノワ・ライエのシャンパーニュがその真価を発揮するようになったのは、デュヴァル・ルロワの醸造責任者エルヴェ・ジュスタンとの出会いがきっかけと言われています。彼との経験交流により、ブノワは栽培の技術を、エルヴェは醸造のノウハウを互いに共有し、品質が一層向上しました。シャンパーニュ専門家ピーター・リエムは「ライエのワインは、力強さと濃密さを持ちながらも重たさがなく、畑作業の質の高さを示している」と述べています。
2015年には、フランスの権威ある評価誌「メイユール・ヴァン・ド・フランス」で2ツ星を獲得し、レコルタンのトップ3に次ぐ評価を受けました。注目度が高まる一方で生産量は年間わずか40,000本と、極めて手に入れることが希少なシャンパーニュを手掛ける生産者です。