1683年にブドウ農家としてスタートし、1960年代からレコルタン・マニピュラン(ブドウ栽培から醸造まで自社で一貫して行う栽培醸造家の総称)としてシャンパーニュの製造を始めたシャルトーニュ・タイエ。現在はアレクサンドル・シャルトーニュが新たな時代を切り開いています。
シャルトーニュ・タイエが位置するメルフィ村は、18世紀にはヴェルズネイやアイと同じく高い評価を受けていた歴史あるワイン産地です。しかし、20世紀に入り戦争の影響でブドウ畑が壊滅的な打撃を受け、その後復興されたものの、かつての栄光は失われました。アレクサンドルは、その名誉を取り戻すべく意欲的に挑戦を続けています。
大学での卒業研修でジャック・セロスのアンセルムに学び、深い影響を受けたアレクサンドルは、「ブドウの根を正しく伸ばす技術」と「自然環境に配慮したワイン造り」の重要性を痛感しました。この経験を基に、除草剤を使用せず、手間を惜しまずに野草を管理し、空気を循環させるために畑を鋤き耕す方法や、詳細な土壌調査などを情熱的かつ柔軟なアプローチで実践しています。
メルフィ村の最大の特徴は「豊富な土壌のバリエーション」にあります。グランクリュの土壌がほとんど粘土とチョークで成り立っているのに対し、メルフィでは砂質を基に砂岩、粘土、石灰など多様な土壌が交じり合い、チョーク層の下に厚く広がっています。村内でもブルゴーニュのように、これほどのテロワールのバリエーションを見せる土地は稀です。
アレクサンドルはその多様な土壌を詳細に理解するために、DRCやジャック・セロスと同じく国際的な権威を誇る土壌学者クロード・ブルギニョンに土壌分析を依頼。土壌の特性を見極め、品種とのベストな組み合わせを模索し、独自のテロワールの表現を追い求めています。また、歴代のヴィンテージやブドウ取引に関する詳細な日記をもとに、優れた畑を選び出し、かつてのスタイルを復活。個性的なテロワールを活かし、果てしない情熱で創り出されるシャルトーニュ・タイエのシャンパーニュ。その卓越した品質は世界中で高く評価され、メルフィに新たな輝きをもたらしています。