アラン・ロベールはサロン、クリュッグと並び、ブラン・ド・ブランの三傑と言われ、ロバート・パーカーから5ツ星の評価も受けた「幻」といわれるシャンパーニュです。
アラン・ロベールのシャンパーニュはコート・デ・ブラン地区のグラン・クリュ、ル・シュール・オジェ村でシャルドネのみから造られています。
ロベール氏は、この特別なテロワールから生まれるシャンパーニュは、若いうちは焼けるように酸が強く、その壮大なミネラルを開花するまでには長い期間を要することを十分理解していました。それは、彼の「必要な時間、熟成させて、注文を受けてからデゴルジュマンする。それをゆっくりと落ち着かせてから出荷します。伝統と大切にして、昔のやり方をそのまま続けているだけです。」という言葉からも伺えます。
ぶどうの栽培も丁寧で、完熟したぶどうだけを摘みます。また、収穫自体を非常に丹念に行い、他なら1週間以内で終わる収穫作業に15日くらいもかけ、採算など度外視しているかのような手法を貫いていました。
ぶどうが完熟しているので、シャンパーニュ地方としては珍しく糖分添加(シャプリタリザシオン)を行っていません。新樽もそのまま使わず、仕込みに使う前に非発泡ワインを入れて余分なタンニンを取り除いてから使用していました。
そうしたことからも、何事につけ自らのスタイルを崩さず、一切の妥協を許さないロベール氏の昔ながらのぶどう栽培家の熱き魂が感じられます。
仕上がったワインはコート・デ・ブランのシャルドネらしいミネラル風味を持ち樽発酵ならではの柔らかさと味の深みがある、きめの細かいシャンパンとなっています。
しかし、残念ながらロベール氏は1990年ヴィンテージを最後とし引退しました。畑は売却され、現在は在庫が市場に出てくるだけとなっています。
一度は口にしたい、見つけたらできる限り購入するべきシャンパンと言えるでしょう。