シャトー・ル・パンをはじめ、ヴュー・シャトー・セルタンやシャトー・トロロン・モンドといった一流シャトーを手掛けるティエンポン家が所有するのがシャトー・ピュイグローです。ティエンポン家がこのシャトーを購入したのは1646年のことで、二度の大戦で荒廃した土地を約30年かけて改良し、1983年に初ヴィンテージをリリースしました。
所有畑は、サン・テミリオンへと続く壮大なドルドーニュ渓谷を見下ろす標高125mの高原に広がり、47haの畑は67区画に細分化され、丁寧に管理されています。標高が高いためカベルネ・ソーヴィニヨンの完熟が難しく、2005年にはより早熟なカベルネ・フランへ植え替えが行われました。土壌は粘土石灰岩質や泥灰土を下層に持つ石灰岩質など、多様なテロワールを有しています。
ワイン造りでは、「手を加えすぎない」ことをモットーとし、畑と土壌を尊重したブドウ栽培を行っています。ヴィンテージごとに気候や土壌を観察し、最適な手入れを施すだけでなく、醸造面でも各区画の特性に応じたアプローチを採用。ブドウのピュアな果実味を最大限に引き出すワイン造りが行われています。
現在、醸造を担当するニコラ・ティエンポン氏は、シャトー・パヴィ・マカンやシャトー・ラルシ・デュカスの管理も手掛け、パヴィ・マカンをグラン・クリュ・クラッセに昇格させるなど、数々の実績を持つ実力者です。また、ニコラ氏とその息子シリル氏が力を合わせ、品質のさらなる向上に努めています。
日本では、漫画『神の雫』に登場したほか、雑誌『ワイナート 75号』で「有力シャトーゆかりの新進気鋭11シャトー」のひとつとして紹介され、「この産地の知名度向上に、大きな役割を果たしている」と称賛されるなど、注目度の高い生産者として知られています。