「シュヴァル・ブラン」と並び、サンテミリオンの名シャトーと称されるオーゾンヌ。2022年9月の格付け更新時に格付けから撤退するまで、サンテミリオンの中でたった4つのシャトーにのみ許された最高の栄冠、「第一特別級A」を獲得していました。
オーゾンヌの畑は、世界遺産に登録された美しい「サンテミリオンの丘」の中でも、最も日当たりが良く、風から守られた南東斜面に位置しています。面積は7haで、樹齢は平均約45年と高く、1haあたり約35hlという驚異的な低収量を誇ります。
オーゾンヌでは、ブドウが完熟するまで待ち、手摘みで収穫。フレンチオーク製のタンクで、野生酵母のみで発酵し、100%新樽でマロラクティック発酵を行います。軽く清澄はしますが、ろ過は行いません。樽で19~22ヶ月間熟成後、自社で瓶詰めして出荷します。
ボルドーの代表的品種であるカベルネ・ソーヴィニョンを使わず、メルローとカベルネ・フランを半々でブレンドして造られたワインは、ベリーの甘いアロマとスパイシーな香りが融合し、優雅でありながら力強い完熟感と奥深いコクが特徴で、アルコール度数はメドックワインよりやや高めです。そのため、「ボルドーのブルゴーニュ」と呼ばれ、優れたヴィンテージでは100年以上の熟成が可能とされています。
オーゾンヌのワインは、その高評価にもかかわらず市場であまり見かけません。これは、ブドウ畑の面積が他のシャトーよりも非常に小さく、生産量がシュヴァル・ブランの5分の1、ラフィットの14分の1に過ぎないためです。特にヴィンテージ品は入手困難と言われています。ペトリュスよりも稀少ながら価格は手が届きやすいため、世界中のワイン愛好家から「一度は飲んでみたいワイン」として高い人気を誇っています。