ロバート・パーカーはブルゴーニュを評価していたはるか昔、ヴォーヌ・ ロマネのロベール・アルヌーを、「ミニDRC」と呼びました。アルヌー・ラショーに名前を変えて、当主パスカル・ラショーの長男シャルルが参画して革新を進める今、ドメーヌ・アルヌー・ラショーは「ミニ・ルロワ」と呼んでいいかもしれません。
ブルゴーニュでは、新世代の若手が意欲的なワイン造りで、父とは異なるワインを産み出しています。ビオディナミへの転換、醸造過程での亜硫酸無添加や全房発酵の導入などが主な手法ですが、ドメーヌ・アルヌー・ラショーのシャルル・ラショーは中でも先頭を走っている1人です。
シャルルの父パルカル・ラショーは2012ヴィンテージから、息子にワイン造りのすべてを任せ、口出しはせずに好きなようにさせました。30歳のシャルルは4年前に飲んだ、ドメーヌ・ルロワに衝撃を受けて変わってきました。
「ヴィラージュのワインだったが、それまでに飲んだ中で最高のワインだった。エモーションにあふれていた。彼女の栽培手法を批判する人が多かったが、目を見開かされた」
ラルー・ビーズ・ルロワと親交を深めて、夏季に伸びた新梢の先端を切る摘芯(ロニャージュ)を行わないようになりました。ルロワの畑でみられるように伸びた枝を編み物のように束ねるトリコタージュをしています。枝の先端は成長に必要なエネルギーを生み出す器官が集中しており、これにより、光合成が活発になり、より多くのエネルギーがそれぞれのブドウに行き渡ります。 キャノピーの管理は早熟を促し、ブドウが完熟しても糖度が低い状態で収穫できるという利点があります。現在、ルロワとドメーヌ・ビゾのジャン・イヴ・ビゾがこの管理方法を実践しています。
このキャノピー管理には、2倍の時間と4倍の作業員が必要ですがそれだけの価値はあります。アルヌー・ラショーのワインは、驚くほどのエネルギーとエレガンスを備えており、ヴォーヌとニュイを最もよく表現しているワインに仕上がっています。
「年々、人手が必要になっています。仕事は正確に、手作業で行わなければなりません」とシャルルは語っています。